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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第15章 離れる覚悟、近づく気持ち ※微


深夜。

静まり返った街の上空に、ひとつの影が降りてくる。
羽音を殺し、窓辺に立つ男。

ホークスだった。

そっと窓を開け、部屋に忍び込む。

規則正しい寝息。
小さく丸まった身体。

……会ってしまった。

ベッドの脇に膝をつき、顔を覗き込んだ瞬間、頬に残る、うっすらとした涙の跡が目に入る。

胸の奥が、ぎゅっと潰れる。

――泣かせた。

自分で線を引いたくせに。
忘れろなんて言ったくせに。

ホークスは震える指で、の前髪をそっと避ける。
触れるか触れないかの距離で、しばらく迷ってから――

どうにも我慢できず、静かに身を屈めた。

ホ「…………」

眠りを妨げないほどの、小さな声。

ホ「ごめん……ほんとに、ごめん……」

額に、そして頬に、触れるほどの距離で囁く。

ホ「……好いとうよ」

唇が、やさしく額に触れる。
次に、涙の跡をなぞるように頬へ。

忘れた方がいい。
近づかない方がいい。

――分かってる。

でも。

忘れられたくない。
忘れられそうもない。
忘れたくなんて、ない。

ホークスはしばらくその寝顔を見つめ続けた。
指先が、何度も何度も離れそうになっては、留まる。

最後に一度だけ、深く息を吸い――
名残惜しそうに背を向け、夜へと消えた。

翌朝。

は、重たい瞼を開いた。
夢だったのか、現実だったのか分からない余韻が胸に残る。

起き上がり、ふと、枕元を見る。

そこにあったのは、赤い羽根。

一瞬で分かった。
考えるより先に、心が理解してしまった。

「…啓、悟…?」

手が震える。
羽根をそっと持ち上げると、胸の奥がずきりと痛んだ。

なんで。
どうして、こんなこと……。

「忘れて」って言ったのは、啓悟なのに。

……こんなの。
忘れられなくなる。

は羽根を胸元に強く抱きしめた。
温もりなんてもう残っていないはずなのに、なぜかあたたかい。

こぼれ落ちる涙を止められないまま、は静かに嗚咽を漏らした。
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