第15章 離れる覚悟、近づく気持ち ※微
これ以上進んでしまうと本当に後戻りできなくなってしまう。
それでも、ホークスはもう一度だけを抱き寄せた。
体の奥から気持ちが溢れて出てくる。
この感情は初めてだけど、この感情がなんなのか知っている。
……すぐそこにいるその言葉。
喉の奥で重たく燃えて、なのに声にはならなかった。
「好きだ」なんて、言ってしまえば、が俺の“弱点”になってしまう。
公安であり、色々な仕事をこなす自分。
今日生きてても、明日にはもういないかもしれない自分。
そんな俺が、誰かを本気で好きになっていいわけがない。
ホ「ごめんね」
ホークスはを起こし、指先髪をくしゃりと撫でる。
それは、心の奥で膨れあがる何かを必死に隠すためのもの。
この時のはそんな事に気付けるはずもなかった。
さっきまであんなに強く、求めるように、絡めていたくせに。
今はまるで、何かに気づいてしまったような、静かな沈黙。
ホ「そろそろ帰るけんね」
そう言ってホークスはに背中を向けて窓の方へ歩き、窓の縁に足をかけたまま、一度だけ振り返った。
夜風がカーテンを揺らし、街の灯りが二人の影を淡く縁取る。
その時、が小さく両手を広げた。
「……最後に、疲れ……取っていかない?」
声はやわらかいのに、そこに込められた想いは鋭かった。
まるで、行こうとする背中をそっと掴むみたいに。
ホークスは気づいた。
――ああ、これは。
もう一度抱きしめてほしい。
もう少しだけ、触れていたい。
離れたくない、という静かなわがまま。
それを理解した瞬間、胸の奥が焼けるように痛んだ。