第15章 離れる覚悟、近づく気持ち ※微
ホークスは一瞬だけ迷うように視線を伏せ、それから覚悟を決めたみたいにの顎に指を添えた。
距離が縮まる。
唇が触れたのは、ほんの一瞬。
確かめるみたいな、軽いキス。
「……っ」
心臓が一拍、遅れて跳ねた後、驚きで身体が固まった。
熱が一気に胸の奥から広がっていく。
一瞬だけだったのに、唇に触れた温度があまりにもやさしくて、言葉も、身体も、動かなかった。
高い空の冷たい風とは対照的に、ホークスの胸の中はあたたかくて。
まるで長い間探していた場所に辿り着いたみたいだった。
本当なら突き放すはずだった。
「やめて」と言うはずだった。
なのに、気づけばは小さく息を吸い、ホークスの服をそっと掴んでいた。
怖さよりも、安心が勝ってしまう。
戸惑いよりも、心地よさが勝ってしまう。
唇が離れたあとも、ホークスの額が自分に触れていて、その距離の近さに胸が早鐘を打つのに、不思議と嫌じゃない。
むしろ、離れたくないと思ってしまった自分に、自身が一番驚いていた。
(どうして……こんなに落ち着くんだろう)
目が合う度、心の奥がゆっくり溶けていくみたいで。
拒むどころか、「もっと知りたい」と思ってしまう。
ホークスの声も、温度も、匂いも、自分の中に染み込んでいった。
ホ「明日、早いんやろ?」
何事もなかったみたいな声で、でも目だけは優しくて。
ホ「送ってく」
またお姫様抱っこされ、夜の空へ。
同じはずの夜景なのに、帰り道の街は、行きよりずっと眩しく見えた。
胸の奥が、じんわりあたたかい。
それはだけじゃなく、ホークスも同じだった。