第15章 離れる覚悟、近づく気持ち ※微
知られたくなかったところ。
触れてほしくなかった傷。
全部まとめて、何も言わずに包み込まれる。
――こんなの、反則だろ。
ホ「…俺、別にこの名前好きじゃないし、もう呼んでくれる人もおらん」
一拍置いて、ぽつりと続ける。
ホ「でも……ちゃんだけが呼んでくれるなら、悪くないね」
を見つめて、静かに言った。
ホ「公表はしてない。呼ぶのは……2人の時だけにして」
「わかりました」
ホ「あと、その敬語もやめて?」
少しだけ、照れたように笑う。
ホ「ほら。“本当の俺”を見たいっちゃろ?」
「……うん」
小さく頷いてから、
「啓悟」
ホ「……はぁぁ……」
思わず頭を抱える。
ホ「やばか……完全に持ってかれとる」
そして、少し悪戯っぽく笑った。
ホ「なら俺も、って呼んでいい?」
「もちろん」
次の瞬間、ぎゅっと抱きしめられる。
「わっ……ど、どうしたの?」
ホ「疲れた」
耳元で、低く囁く。
ホ「だから……癒して」
その言葉と同時に、ふわりとあたたかい光が2人を包んだ。
身体が軽くなっていく。
羽の奥に溜まっていた疲労も、張り詰めていた心も、すっと溶けていく。
――なんだ、これ。
あたたかくて、静かで、落ち着く。
ホークスにとって、初めての感覚だった。
疲労回復が終わり、ふわりと光が消える。
名残惜しい温もりだけが、まだ2人の間に残っていた。
ゆっくりと体を離しても、なぜか視線だけはほどけない。
夜風に揺れる羽の音すら、今は遠く感じる。