第13章 全力の先、静かな想い
目を覚ますと、白い天井が視界いっぱいに広がっていた。
「……ここは……?……っ、天晴さん!」
勢いよく起き上がる。
天「っ!!起きたか?大丈夫か?」
飯「さん!大丈夫ですか!?」
2人揃って心配そうに覗き込んでくる。
どうやら、1日半ほど眠っていたらしい。
天晴は歩けるところまで回復していたが、念のためもうしばらく入院するとのことだった。
ヒーローは正式に引退し、その意志は弟へ託した、と。
天「……わざわざ来てくれて、ありがとう。助かったよ」
少し間を置いて、柔らかく笑う。
天「……それに、嬉しかった。久しぶりに会えて」
「本当に……無事でよかったです……!」
天「大きくなったな。……相変わらず、かわいい」
そう言って、昔と変わらない仕草で頭を撫でる。
にとっては、昔から知っている“お兄ちゃんみたいな存在”。
きっと向こうも、同じように思ってくれている、そう疑いもしなかった。
「ありがとう!!本当によかっ…あ、ごめんなさい…」
天「ははは、気にするな!昔みたいにタメ口でいいよ」
「うん…!」
天「もヒーローするなら気をつけるんだぞ、大切に思っているからな」
「気をつける、ありがとう!私も!お兄ちゃんみたいに大切に思ってるよ!」
その言葉を聞いた瞬間、天晴の中で、何かが静かに、確かにほどけた。
ああ、そうか。
ずっと、違う場所を見ていたのは……俺のほうだった。
天「……ありがとな」
それ以上、何も言わなかった。
言えなかった、ではない。
言う必要が、もう無くなったのだ。
もう一度だけ軽く抱きしめ、は病室を後にする。