第13章 全力の先、静かな想い
体の痛みが引いていくのと同時に、胸の奥の何かが、ふっと軽くなった。
切「…そんなこと、初めて言われました」
にこっと笑う。
「自分を誇っていいんだよ、鋭児郎」
切島は、思わず目を逸らす。
切「…やべ。なんか…あっつ……」
「ん?」
切「い、いや!!なんでもないっす!!でも…」
ぐっと拳を握る。
切「もっと強くなります。次は…先生に、胸張れるように」
「うん!楽しみにしてる」
治癒が終わり、切島は立ち上がる。
その背中は、さっきより少しだけまっすぐだった。
切(認められたい。それだけで、こんなに力湧くとか…やべぇな……)
切島は、思わず胸に手を当てた。
そこには、はっきりとした痛みも、言葉にできる感情もない。
ただ、じんわりと、熱い何かが残っている。
切(……この気持ち、なんなんだ)
ただ認められただけなのに。
それだけで、胸が熱くなって、前を向ける気がした。
——こんな感覚、今まで知らなかった。
ベスト4が出揃う。
飯田天哉 vs 轟焦凍。
轟は炎を使うことなく、冷静に勝利を収めた。
常闇踏陰 vs 爆豪勝己。
ダークシャドウに苦戦しながらも、光が弱点だと見抜いた爆豪が制圧し、勝利。
決勝進出者、決定。
決勝 轟焦凍 vs 爆豪勝己
会場は、これ以上ないほどの熱気に包まれていた。
は胸に手を当て、ステージへ上がる二人を見つめる。
炎を使おうとしない轟。
それに気づいた爆豪の苛立ちは、隠しきれなくなっていた。
爆「勝つつもりねえなら俺の前に立つな!なんでここに立ってんだクソが!!」
轟(悪ぃ爆豪…緑谷と戦ってから、自分が正しいのかどうかわかんなくなっちまってんだ)
轟は、左側を使うことをためらう。
――その時。
「焦凍!!!!」
轟「……!!」
その声が、はっきりと耳に届いた。
迷いを振り払うように、轟は左側から炎を放つ。
爆豪と轟が、正面から激突する。
だが、炎が止まった。
過去の記憶がよぎり、轟は無意識に炎を引っ込めてしまった。
爆音が、会場を裂く。