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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第13章 全力の先、静かな想い


は轟の所へ向かう。
あの悲しそうな背中が忘れられない。

「焦凍!お疲れ様」

轟「…」

轟はに近づきそのまま抱きしめた。
先程のイラつきが驚くほど一瞬で消えていった。

「1回戦突破おめでとう」

轟「あぁ…ありがとう…」

「…昔から言ってるけど氷も炎もどっちも焦凍の個性だよ」

轟「あぁ…」

「…辛い時、ずっとそばにいてあげられなくてごめんね」

その言葉に、轟は一瞬だけ息を詰まらせた。
きっと、アメリカに行っていた頃のことだ。

轟の交友関係は、すべて父に管理されていた。
その中で唯一、例外として許されていた存在がだった。

母がいなくなってから、は轟にとって世界そのものだった。

のいない毎日は、色も音もなくて。

それくらい、想いは深かった。

轟「…あれ、やってくんねぇか」

ぽつりと零す。

「うん。このままするね」

抱きしめ合ったまま、の手からあたたかな感覚が伝わってくる。
疲労が、ゆっくりと抜けていく。

体が軽くなる。
それ以上に心が、満たされていく。

この“疲労回復”という名の抱擁。
昔から、何度もしてもらってきた。

轟にとって、それはただの治癒じゃない。
安心で、救いで、肯定される時間だった。

名残惜しそうに、そっと腕を離す。

轟「…ありがとう」

「うん。行っておいで」

次の試合へ向かう背中を見送りながら、轟は胸の奥に残った温度を、じっと確かめていた。

手放せない、だけは。

それが当たり前みたいに、ずっとそうだった。

笑っている時も、苦しそうな時も、自分が、ここに居たい。

守りたい。
それだけは、はっきりしている。

この気持ちを、なんて呼ぶのか。
轟は、まだ知らない。

ただ、を想う気持ちは、あまりにも深かった。

そばに居たい、失くしたくない。
それだけは、迷いようもなく胸にある。

を、きちんと守れるように。
いつか、の隣に立てるように。

その想いを、静かに胸の奥へ仕舞い込む。

そして轟は、次の試合へ確かな足取りで進んだ。
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