第13章 全力の先、静かな想い
マ「お待たせしました!続きましては〜こいつらだ!」
瀬呂範太 vs 轟焦凍
紹介が終わって試合開始。
だが、轟の様子がいつもと違う。
表情が硬く、内側で何かを抑え込んでいるようだった。
瀬呂がテープを放ち、距離を詰めようとしたその瞬間。
凄まじい爆音とともに、巨大な氷塊が一気にせり出す。
「っわぁ!!」
目の前まで迫る氷に、会場がどよめく。
ミ「瀬呂くん行動不能!轟くん2回戦進出!」
あまりにも一瞬の決着。
会場からはどんまいコールが湧き起こる。
氷結された瀬呂のもとへ、轟が歩み寄る。
――使うのは、いつもとは反対の手。
氷を溶かすその横顔は、勝者とは思えないほど寂しげだった。
はすぐに瀬呂のもとへ駆け寄る。
「大丈夫?」
瀬「先生…おれ…」
悔しさを噛み殺した声。
「お疲れ様、体は大丈夫そう!…だけど」
一歩近づいて、ぎゅっと抱きしめる。
瀬「っっ!?!?え、え!?せんせ…!?」
ほんの数秒。
温もりが、まっすぐ伝わる。
瀬「あれ……?なんか……体、軽……」
ゆっくり離れる。
「どう?元気になったでしょ?疲労回復の効果があるの」
完全に固まる瀬呂。
「あ…ごめん!!嫌だった!?」
瀬「い、嫌とかじゃなくて!ただびっくりしただけ!めちゃくちゃ元気になりました!」
「なら良かった!!」
忙しそうに瀬呂に別れを告げ、次の場所へと急ぐ。
瀬「あんなん好きになんない方が無理っしょ………」
瀬呂の呟きは誰にも聞こえることなく消えていった。