第13章 全力の先、静かな想い
緑谷の意思とは無関係に、内側から力がせり上がる。
緑「っ!?」
指先に、突き刺すような激痛。
ワンフォーオールが、勝手に発動していた。
その痛みが、洗脳の膜を引き裂く。
緑谷はよろめきながらも踏みとどまり、視界に色が戻った。
伸ばした手が心操を捉え、そのまま場外へと投げ飛ばす。
ミ「勝者、緑谷出久!」
会場がどよめく中、緑谷は指を押さえたまま、息を整えていた。
なぜ、戻れたのか。
なぜ、力が動いたのか。
ただ一つ確かなのは、の声が引き金になったということだけだった。
試合が終わったあと、は敗れた相手、心操のもとへ駆け寄り、声をかける。
「お疲れ様。怪我は大丈夫?」
心「……はい。平気です」
「個性、凄いね。さっきの試合、すごかったよ」
心「いや…、全然。俺の個性、よくヴィラン向けって言われます」
少し自嘲気味に笑う心操に、は首を横に振る。
「そんなことないよ。だって、ヒーローになりたいんでしょ?」
心「…はい」
「だったら、それで十分。個性に“向き”なんてないよ。使う人が、誰を守りたいかで全部決まる」
真剣に、でも優しく続ける。
「その個性、すっごく強い。それを“ヒーローとして使いたい”って思ってるなら、もうヒーロー側の人だよ」
心操の目が、大きく見開かれる。
「ヒーローを目指してくれてありがとう。ヒーロー科で待ってるからね」
心「……っ!!はい……! 絶対、なります……!!」
ぎゅっと拳を握る心操の表情は、さっきまでの迷いが嘘のように晴れていた。