第13章 全力の先、静かな想い
レクリエーションの借り物競争が始まる。
はたのしく傍で見ていたが、急に瀬呂に声をかけられる。
瀬「先生!来て欲しいっス!」
次の瞬間、視界がぐっと浮く。
気づけば瀬呂にお姫様抱っこをされていた。
「は、範太!私走れるよ?恥ずかしいんだけど…」
瀬「こっちんが早いんで、それに先生疲れさせたくねーし!」
さらっと言われた言葉に、胸がきゅっとする。
高校生のくせに、変に気遣いが大人で。
軽そうに見えて、ちゃんと相手を見ているところがずるい。
は大人しくそのままゴールまで運ばれた。
会場からは若干ブーイングが聞こえてくるのは気のせいだろうか。
「そういえばお題なんだったの?」
瀬「っと…、これっス」
恥ずかしそうに見せてくれたカードには、〈1番かわいいと思う人〉と書いてあった。
「っ……!!」
嬉しさと、恥ずかしさが同時にやってくる。
瀬「…嘘じゃないんで」
真剣な目で伝えられると余計に照れる。
「っあ、ありがとう…」
峰「おい瀬呂かっこつけてんじゃねーぞ!」
上「お前それはずりぃだろ!」
切「お、お前結構根性あるな!」
A組のみんなは瀬呂をからかっている。
物「くっ…羨まし……くないぞ!」
回「羨ましい…」
拳「集中せい!」
B組は切望の目を向ける。
相(ったくどいつもこいつも……)
レクリエーションも終わり、ついに最終種目へ。
マイクが会場のボルテージを一気に引き上げる。
爆豪や轟たちも戻り、空気が一段と張り詰める。
も自然と背筋が伸びた。
このトーナメント戦、きっと目が離せない。
マ「第1回戦!」
開始早々、心操は尾白を侮辱する言葉を投げかけた。
反論しようと口を開いた、その一瞬。
緑谷は心操の個性、洗脳にかかってしまう。
心「そのまま場外へ出ろ」
淡々とした指示が落ちた瞬間、緑谷の身体は操られるように動き出した。
意思は沈み、視界は曇ったまま、足はまっすぐ場外へ向かう。
その時――
「っ出久!!」
張り裂けるような声が、会場を裂いた。
その声が届いた刹那、緑谷の意識の奥で、何かが確かに反応した。