第1章 Z=16 医者×魔導士=多忙な日々
「あ゛ぁ゛、科学王国においてこいつは少し訳アリでな。テメーに船長任せるにあたって、事前に伝える必要があった。」
「訳アリ?」
龍水はまじまじとルーチェの方を見つめ、分析しだす。
「フウン、顔立ちは北欧人ぽいところ以外なにも変わったところはないが…」
しばらくいろんな角度から見つめたが、龍水の中では特に普通の人間しか見えなかった。
ルーチェは千空に目配せする。
千空も、意図が分かったのか、軽く頷く。
「はじめまして。ルーチェ・ドーラ。ここ科学王国の医者で……魔導士。」
「ま、まどうしぃ?」
さすがの龍水も思わず大きな声で叫ぶ。
だが、数秒後には事態を飲み込めたのか、ふっと笑った。
「魔導士、か。いや、かまわん。おもしろい!。」
龍水の言葉に表情こそ崩さないが、眉はピクりと動かすルーチェ。
(こんな反応は、初めて…)
ルーチェはが戸惑っていると、龍水の方から腕が伸びてきた。どうやら、握手を求められているらしい。
ルーチェはそっと自分の腕を差し出し、龍水の腕を握り返した。
「よろしく、ルーチェ。」
「こちらこそ。」
千空はそんな二人を見て、うまくいったことにふっと笑った。
「あー、仲良くなったところ申し訳ねぇが、ルーチェてめぇに1つ相談がある。」
「相談?」
ルーチェに出来ることといえば魔導つかってのお手伝いか、治療ぐらいなものだ。
今度は何させられるのやら、と小さい溜息をつき千空の言葉を待った。
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