第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
「ヴァクウム・クレウール」
ルーチェが静かに唱え、スティックをひょいと動かしながら呪文を唱えると火はゆっくりと消えていった。
先程まで燃えていた炎が一瞬に消え、羽京とクロムはぽかーんと見る。
ルーチェはというと、涼しい顔をしているが、その額には薄ら脂汗を浮かべていた。
「鎮火完了。もう大丈夫。」
「たく、あぶねぇな。もう少しで山火事になるところだったわ。」
「助かったよ、ルーチェ。」
羽京はありがとう、とルーチェに言おうとしたが、顔色の悪さに気がついた。ルーチェの手首を咄嗟に掴み、脈を診る。
「…なに。」
「なにって…。顔色が真っ青だし、脂汗も浮いている。異常がないか確認だよ。」
「……火以外の属性を使ったから、疲れた。少し休めば落ち着く。」
そういうと手を離すように視線で促すと、渋々といった様子で離れる。
羽京はルーチェの体調を本気で心配しているようだった。
「千空たちに報告しないと。わたしはここで待ってるから。」
「あ、うん、そうだね。クロム、お願いできるかい?」
「任せとけ!」
クロムは急いで電話をかけ、石油が見つかったことを報告した。
電話越しではあるが、みんなの喜びがつたわり、すぐにそっちに行くと言うなり電話は切れた。
「羽京、みんな今から来るってよ。」
「そう?なら、僕たちはキャンプの準備しよっか。」
クロムとルーチェは、了承の返事をし、みんなで手早くキャンプの準備をした。
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