第1章 Z=16 医者×魔導士=多忙な日々
「おーい。ルーチェ、こっちだ!!」
ルーチェはその声を頼りに加工した木材を運び込む。
司帝国の国民をお仲間にした新生科学王国の健康管理や治療、造船の作業の手伝いに加え、石神村の検診が加わって数日。
そのおかげでルーチェは忙しい日々を送ることになった。
昨日の天候は急な嵐に見舞われ、作業があまり進まなかった。
が、ルーチェが石神村で造船に必要なものを作っていたおかげで、なんとか遅れがでることはなかった。
「はい、これ。強化魔導もつけておいた。」
「お、おう、ありがとな…」
「どういたしまして。」
短く返すと、紙とペンもどきを取り出して負傷者がいないか、を確認し始めた。
そこへトントン、と一定のリズムで土を踏み鳴らす音が聞こえた。
「ルーチェ、いまいいか?」
その声に振り向く。
後ろには特徴的な髪形に、E=mc²の文字が書かれた白いワンピースっぽい服に身を包んだ男性、石神千空が立っていた。
その横には、見慣れない長身で金色の髪、赤色の服に身を包んだ男性。
ルーチェがこくりとうなずくと、千空が口を開いた。
「俺の隣に立っている男は七海龍水だ。昨日、船長として起こしてきた。」
「どうも。」
ルーチェはぺこりと軽く会釈すると、むこうも会釈を返してきた。
「千空、こちらの美女は?みたところ、特に重要な人物には見えぬが…」
顔を上げた龍水はルーチェから視線を外さず、真っ直ぐな声で千空にて尋ねた。
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