第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
フランソワの指示に従い、コハクと羽京はヤギを生け捕りし、乳絞りを、龍水と千空は小麦を粉にして小麦粉の大量生産に取り掛かる。
ルーチェとゲンはというと、二人でサルファ剤を作成の合間に焼き釜作りを手伝い数日後--------
フランソワ監修の元、「ヤギの恵みのシュトーレン」が完成した。
千空、龍水、クロム、コハク、ゲン、羽京、ルーチェはキラキラした目で完成品を見つめる。
「「「「「「いっただきまーす。」」」」」」
みんなが一斉に手を伸ばし、それぞれ口にほお張る。
「やべぇえええぇ!ルーチェのパンも美味かったけど、こっちもやべぇええ。」
「ルーチェちゃんのは硬いクッキーって感じだったけど、こっちはマドレーヌみたいだね。」
「あぁ、有名パン屋と遜色ねぇ。クックッ、地球の裏まで保存が効いて超絶うまい、アホほど美味しい完璧な食料、ゲットだな。」
「美味しい…,」
みんながフランソワのパンを絶賛し、口々に褒めたたえた。
ただ、ルーチェだけは、味わうようにハムハムとゆっくりと食べ進めていた。
「?ルーチェちゃん、もしかして懐かしくなった?」
少し複雑そうな様子で食べ進めるルーチェに疑問に感じ、ゲンが尋ねると、小さくコクっと頷くルーチェ。
「医大生のとき、みんなで食べてたの。クリスマスまで…」
「そっか。思い出の味、なんだね。」
ゲンがふふ、と笑いかけるとルーチェも無口ながら口元をほんの少し緩ませ、こっそりと余ってるシュトーレンに手を伸ばした。
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