第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
「「シュ……とーれ、ん?」」
「シュトーレンって言うのは、ドイツという国でクリスマスまでの間に食べられていたお菓子だよ。ルーチェたちの国でも食べてたんじゃないかな?」
「……留学先のチェコで何度かは。」
羽京が2人に説明しても、やはりピンと来ないのか、キョトンとするクロムとコハク。
一方の千空たちは、というと口をあんぐりとあけて、留学、と繰り返していた。
「え?なにかおかしなこといった?」
ルーチェがそういって小首を傾げれば、その場は沈黙が支配し皆は絶句し固まった。
しばらくの沈黙のあと、意識を1番に取り戻した千空が驚いたような呆れたように耳に小指を突っ込みがら口を開けた。
「あ゛ぁ゛、元々普通じゃねぇとは思ってたが、予想の遥か斜め上いきすぎだ。つか、地元に超絶有名な研究所も近くにあっただろ。」
「……母様と、恩師達が勧めてくれたの。」
そんなに裕福な家庭ではないし、と付け加えれば千空はほーん、と呟く。
龍水と羽京はというと、衝撃から戻って来れないのか、石化したように固まっていた。
そこへ、こほん、と抽象的な可愛らしい咳払いが聞こえた。
「ルーチェ様の素晴らしい経歴はわかりました。ですが、いまはシュトーレンを完成させる為にも皆様のお力を借りれば、と思います。御協力、いただけますね?」
控えめながらも堂々とした言い方に、一同は首を縦に振る。
フランソワは満足気に微笑むと、早速ですが、と前置きをして各々に指示を出した。
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