第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
「きたーー!しれっと!」
クロムが叫ぶ中、フランソワは気にせず、当たりをみまわす。
その後ろには、倒れそう、いやもう地面と仲良くなっているあさぎりゲンがいた。
ゲン!とルーチェが叫び、慌てたように駆け込む。
脈をなんなくり、目の周辺や白目の状態を確認する。
(特に異常はない。けど、栄養失調ね。)
「ゲン、もしかして、なにもたべてないの?」
「う、うん。2日間歩きっぱなしでさぁ。さすがに少しは寝かせて貰えたけど、バイヤー。」
そういうとゲンの意識は途切れた。
ルーチェはゆっくりとゲンを横抱き、というかほぼお姫様だっこ、をすると診療所と運び込む。
そして、静かに横たわらせて、布団らしきものをそっと上から掛け、水を入れた竹筒をそばにおき、すぐに診療所から出てきた。
診療所から出てこれば、なにやらフランソワと龍水が話し込んでいた。
「素晴らしい。このパンをお作りになったのは、龍水様ですか?」
「いいや、そこにいるルーチェが作った。彼女は北欧の出身でパン作りの基礎はできている。が、栄養面を考えた保存食となると難しいとなってな。」
龍水はルーチェの方をちらっと見ながら現状をフランソワに説明すると、ルーチェの作ったパンとルーチェを交互に見て、状況は分かりました、告げた。
「では、今回のメニューの目的とゲストの意見を合わせますと、長期保存が効くパン、ですね。かしこまりました。では今回ご用意するのは、ヤギの恵みのシュトーレンです。」
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