第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
ルーチェは遠目から千空たちの視線を感じとった。
(?……どうしたの??)
不思議に思いながらもラボの近くにゆっくりと着陸し、穂先を下にして持ち替えて、みんなに声をかける。
「みんな、どうしたの?体調、悪い」
暫く沈黙が続いた。
が、龍水と千空はなにかに気がついたかのようにはっとして口を開いた。
「ルーチェ、パン作りの経験はあるか?」
「う、うん。手作りのパンを作ったことはある。家庭用だけど。」
なんで?と聞き返すと2人は神様を見つめるような目でルーチェに詰め寄った。
「ルーチェ、てめぇが最後の砦だ!パンを作って欲しい!」
「俺からも頼む。ブリオッシュがあれば最高だな!」
「……いや、仕事は?」
「んなもん後からでいい!今は食料第1だ!」
千空と龍水の必死な頼み方にルーチェは思わず頷くと、2人はガッツポーズをした。
「パン作りは今後の食料確保のため?」
「あー、航海用の保存食が必要でな。乾パンは管理しやすいからそれを作る前にパンを焼いてみたんだが、上手くいかなくてなぁ。」
千空がそう言うやいなや羽京が横から黒焦げになったパンを持ってきた。
それをみたルーチェは、思わず眉をひそめ、怪訝な表情でそれを見て一言「ひどい。」と呟いた。
「パンの作り方は知ってんだが、初めて作ったもんでな。」
「……わかった。保存用は作れるか分からないけど、普通のパンなら。」
そう言うやいなや、ルーチェは手早く水で手を洗い、パン作りに着手した。
.