第1章 Z=16 医者×魔導士=多忙な日々
「お、おう、久しぶりにこれだけ動いたからなぁ。」
「帰ったらストレッチ。」
それだけを伝えると、カゴを浮かせて、司帝国側へと向かって歩いていく。男性の人もそれに続くように歩いていった。
簡易診療所に到着するとルーチェと男の人はカゴを床に置くと、水を飲んで一息つく。
そこへ、1人の訪問者が現れた。
「おっつぅ、ルーチェちゃんたち。」
「ゲン、お疲れさま。どうしたの?」
ヘラヘラとした口調で喋る、白と黒のツートンカラーの男、あさぎりゲンが入口にたっており、二人に声をかける。
「ちょっとね、さっき決まったことを2人に伝えようかと思って。」
「決まったこと?」
ゲンは、午前中にお芝居が開催されたこと、そのお芝居では、これまでの話やら、世界に飛び出すことなどをお芝居で語られた、と説明した。
そのなかでも、2人は帆船を作るということにおどろいてた。
ルーチェと男性は声を揃えて驚くと、ゲンはやっぱりそうなるよねぇ、と薄ら笑いを浮かべた。
「そういうことだから、ルーチェちゃんはとりあえず今まで通り医者としてみんなの健康管理、そこの君は作業員としてこっちに来て欲しいの。」
「…いいけど。ずっとおれるわけじゃない。そろそろ、石神村の方にも行かなきゃ、と思ってたし。」
「それはいいのよ。ただ、なるべくこっちにもいてほしいかなぁ、なんて。」
ルーチェは了承し、午後からはこっちにいるとだけ答えると、黙って薬草の仕分けを始めた。
ゲンは男性に「じゃ、いこっか」と促し、ふたりは診療所を後にした。
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