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幻想科学物語 Ⅱ

第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?







「ヴェント・テクトゥム」


グルグルと視界が回る中、呪文を唱えればルーチェの周りの風は穏やかになり、防護壁みたいなものにつつまれる。


(はぁ、はぁ、)


体勢を立て直し、呼吸を整えると気球を視線で追いかける。
しばらく辺りを見回すと、小さく風に揺さぶられている気球が見えた。


「くっ……」


荒れ狂う風、鳴り響く雷鳴。
ルーチェは何とか呼吸をし、気球の近くまで飛んでいくと、スティックを構え、深く息を吸った。


「アクセラリオン」


呪文を唱えると、ルーチェは気球へと一気に加速する。
やがて、追いついた。


「千空!」


「おう、ルーチェ。無事だったか。来てもらってそうそうに悪いが、この状況なんとかできねぇか。」


「方法は、あるにはある!」


「それは---ルーチェ、教えてくれ!」


「……縄で箒と気球を繋げる。繋げ終わったら一気に燃料を投下。スピードが上がる瞬間に、わたしが呪文を唱えて、みんなを引っ張る。」


ルーチェの提案にみんなは絶句する。
この天候の中、さらに上にいくというのだ。無事に抜けるかどうかもきびしい。


だが、1人だけ、ふっとわらった男がいた。


「頭とハートで全力でつかってぶつかって行くしかねぇだろ。雲の魔人によぉ!」


そう言いながら、釜をあけ、燃料を投下しようとするクロムを一同ははっとしたように見た。


「お、おん?やべぇか?」


クロムが聞き返すと、千空が喉を鳴らしたように笑う。
龍水とルーチェも視線を合わせて頷いた。


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