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幻想科学物語 Ⅱ

第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?






翌早朝――。


東の空が白み始めるころ、造船所の空き地では、すでに準備が始まっていた。気球はすっかり膨らみ、ゆらりと揺れる布の姿は、まるで大きな命が鼓動しているかのようだった。


「千空、もう時期飛ぶぞ。」


「あぁ、いよいよ、俺らは空へと飛び出す。」


それを合図に、気球はゆっくりと浮かび上がった。
造船所にいた面々も新世界の人類初の気球飛行の瞬間に立ち会い、それぞれ歓声をあげたり、感動の涙にひたったり、とそれぞれだった。


気球はまたたくまに、はるか上空へと飛び上がり、朝日を反射してきらっとひかった。


「よかった。上手く飛べたようね。」


その様子をルーチェは1人、小高い丘から見守ると、ルーチェも箒に跨る。


(フーゴ)


心の中でそう短く唱えるとルーチェもふわり、と飛んだ。
気球の後ろを少し距離を離し、聴力強化の魔導をかけ、飛行する。


「うぉおおお、鳥と一緒に飛んでるぜ、俺ら!」


「いや喜んでる場合でもねぇ。--バードストライクだ。アホほど多い事故だ。気をつけろ。」


「ふうん、俺たちがかわせばいい。俺がゴールまで連れてってやる。」


そんなやり取りが聞こえる。今のところは、順調に飛んでいるようで、何よりと安心していたが、ルーチェは1つ疑問に思っていたことがあった。


「でもよ、ゴールってどこだ?」


クロムがルーチェが思っていたことを聞く2人同時にふりかえってこういった。


「「石神村。」」


その後、クロムの叫び声が聞こえ、ルーチェは思わず耳を塞いだ。



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