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幻想科学物語 Ⅱ

第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?






二人が千空たちのところへ着くと、小型の何かがふわふわと空へと上昇していくところだった。


「連れてきたよー」とゲンが軽く手を振ると、千空はちらりと振り返り、「少し待ってろ」とだけ言った。


「なにしてるの?」


「鹿の内蔵&水素のパイロットバルーンだ。テスト飛行ってところだな。」


「ふーん、それで何かわかるの?」


「上空の風が全部見える。飛べるぜ、この風ならな。」


上昇していくミニ気球、もといバルーンを5人は平然と見送る。
龍水がこの風なら、と嬉しそうに微笑むと、千空と大樹も安心したように顔を見合せ、頷いた。



「それは、よかった。私になにか話があるって聞いたけど…」


「おー、魔導士サマ。少しお力を頼りてぇんだが構わねぇか?」


「…いつものこと。」


千空がいつもののりで言うと、肩をすくめるルーチェ。
そこへ、龍水が真剣な顔で続けた。

「空というのは、なにがあるかわからない。嵐も気流の変化も、地上とは桁違いだ。危険といえば、確かに危険だ。
だが――もしその危機を、貴様の魔導で回避できるのなら。ぜひとも力を貸してほしい、ルーチェ。」


「……そういうことなら。」


ルーチェは特に危ないこと--気球が全く危なくないとは思ってないが--
ではなく、後ろからの保険、ということならと了承する。


「要件はそれだけ?」


ルーチェが尋ねると、千空と龍水は頷く。
それじゃ、明日に備えて寝るわ、と告げ、ルーチェは足早にみんなの前からたちさった。


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