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幻想科学物語 Ⅱ

第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?






搭乗員が千空、龍水、クロムの3人に決まったその夜のこと---


ルーチェは診療所にてクロムの手当を行っていた。


「もう、興奮しすぎ。特に大きな怪我とかは無かったからいいけど、これからは無茶しないの。わかった?」


「お、おう…」


クロムは不貞腐れたように頷く。
ルーチェは注意事項を述べると、予備のガーゼもどきがはいった袋を手渡した。


「とれたら必ず交換するのよ。わかった?」


「あぁ!そんじゃ、サンキューな、ルーチェ。お休み。」


「おやすみなさい。お大事に」


クロムが足早に診療所を出ていくのをチラッと見送った後、ルーチェは机に向かい、クロムの怪我の記録を書き始めた。


そこへ、こきざみのいいノック音が聞こえてきた。


「……どうぞ。」


「おっつぅ。ルーチェちゃん。」


「ゲン、どこか具合が悪いの?」


ゲンが外壁を軽くノックし、入口に視線をやると、ルーチェが返事をした。


「どこも悪くないよ。千空ちゃんたちが呼んでるから、呼びに来たの。」


「………嫌な予感しかない。」


「だよねぇ。いつも突拍子もないこと言ってくるもん。」


2人して盛大に、はぁ、と息を吐き出す。
仕方ない、と諦め半分、それでも頼られていることを有難く思う気持ち半分、交差していく。


「わかった。行くわ。」


「ありがとう。案内するよ。」


ルーチェは紙とペンをしまい、ロウソクの火を消す。
2人は月明かりを頼りに、千空たちの元へと歩いていった。

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