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幻想科学物語 Ⅱ

第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?






造船所に布が大量に出来ること数ヶ月。


ルーチェの機織り魔導のおかげで布作りは想定よりも早く終わり、いよいよ気球の完成も後一歩という所まで近づいた。


科学王国民はこれまでの苦労を思い返して、感動に浸っていた。


「うっ…ようやく、気球が完成するんだ。」


「長かったぁ。こんなに大量に縫い物したの初めてだよ。」


「俺、大抵の事はできそうな気がするわ……」


口々に感動をしてる中、千空、ゲン、カセキ、ルーチェ、杠はげっそりとしていた。


感動をしている面々に千空はごほん、と咳払いをする。


「感動の涙垂れ流してるところ申し訳ねぇが、気球はあくまでも通過点だ。肝心の船作りがまだ途中だ。」


「容赦ないねぇ、千空ちゃん。少しは感動に浸ったら?」


ゲンがゲンナリしながらツッコミをいれるとその他3人もウンウン、と頷く。


特に、ルーチェは患者が減ったことをいい事に、医者、石油の探索、に加え、こっそり魔導の勉強も再開していた。


(さすがに、詰め込みすぎかな……)


ルーチェは思わず大きなあくびをする。
すると隣に立っていた杠が、気遣うかのように、声をかけた。


「ルーチェさん、大丈夫ですか?お疲れの様子、ですし。」


「大丈夫。医大生だった頃よりは元気。」


苦笑いしつつも、その言葉に杠は少し安心したように笑う。


杠に心配されたことに少し不貞腐れながらも、どこか嬉しいようなあったかい気持ちに包まれて思わず嬉しそうに瞳をゆらした。


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