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幻想科学物語 Ⅱ

第1章 Z=16 医者×魔導士=多忙な日々






「……そっか。」


ルーチェはそう呟くと、目線を下にやり俯き、ゲンに背中を向けた。
平気そうなフリをしているが、ゲンには寂しそうに移る。


先程の拒絶していた雰囲気をしまって、ルーチェちゃん、と呼びかける。


「なに。」


「やっぱり、付き合うよ。そんなしょんぼりされたら、断るのも、ねぇ。」


ゲンがそういうと、ルーチェは目の前で箒にまたがった。
そして、げんの方を見て一言。


「…後ろ、のって。」


「はいはい。あんまり高くしないでよ。」


ゲンはルーチェの後ろに箒に跨る。そして、ルーチェの腰に手を回し、体を密着させた。


ゲンが腰に手を回したことを確認して、短く呪文を唱える。
すると、2人の体は空へと浮かび上がった。


「……綺麗だね。」


段々と遠ざかる森、近づいてくる星空。
今日は晴天でとても綺麗に星が見え、その景色にゲンは身を乗り出しそうになった。


風を読み、操りながらも安定して飛ぶルーチェ。今の状況が嬉しいのか、それとも密着してることに少し照れてるのか、耳を赤く染めながら、呟いた。


「ありがとう。今日は怖くない、かも。」


「え?」


「星は綺麗。でも、夜の暗さが、どうしても、災厄のことを思い出してしまって…」


ルーチェの声と身体は少し震えており、ゲンにも伝わる。故郷のことを思いだして、きっと怖くなってたのだろう。


(そっか。ルーチェちゃんも、吹っ切れたわけじゃないんだ…)


ゲンは暫く無言で聞いていたが、ふふっと、笑った。


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