第1章 Z=16 医者×魔導士=多忙な日々
「……気球を作るのはわかった。それで、私は何をしたらいいの?」
「話が早くて助かるわぁ。ここら辺の上空を飛んで、石油を探して欲しい。できるか?」
「はっはー!石油を見つけてくれたら、10万ドラコをくれてやる!どうだ!」
2人のギラついた目で頼まれればお人好しなルーチェはNOとは言えなくて……
「…わかった。協力する。」
小さく聞き返すと、2人とも満足気に笑顔を浮かべた。
「ドラコってなに?」と聞き返せば、「通貨だ」、と龍水が宣言する。
いよいよ通貨も復活したことに、現代に近づいてきたなあ、としみじみ思いつつ、千空、と呼びかけた。
「あ?なんだ?」
「麻なら少し分けてあげれる。衛生用品作るために沢山とってたから。」
「そりゃ、おありがてぇわ。んなら、あとでこっちのラボに持ってきてくれ。いくぞ、龍水。」
「あぁ、わかった!」
2人はまた後で、と告げると、手をひらひら振りながら、造船所の方へとむかっていった。
ルーチェも簡易診療所の方へと赴き、麻がはいったカゴを蓋カゴばかり、浮かせる。
診療所の横にかかってる木札を"休診"にし、魔導を使おうと呪文を口にしかけるが、ふと思いとどまった。
「メ……たまには、歩くか。」
天気は快晴。
ルーチェはなにかと魔導に頼りがちではあるが、距離も短いし、運動にもなるだろう、と考え直して、カゴを浮かせて千空たちの後をおった。
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