第1章 光を厭い 光に憧る
敵連合への潜入捜査、
その指令が出てから、ホークスは自身の活動拠点である福岡と公安委員会のある東京を頻繁に行き来するようになり、公安委員会の本部ビル内で目にすることが多くなった。
そして全く予想外なことに、なぜか私は彼によく声を掛けられるようになったのだ。
最初は会議室の場所を尋ねられた。
次は職員食堂の場所、その次は所属部署のこと、そして今日は、
「敵連合が仲間の募集に使ってた番号に連絡入れる前に敵のこと聞いてもいいです?分かっている範囲で構わないので」
どうして私なんかに声を掛けるの?
周囲には他に人がおらず、対象が私であることは明白だが、信じられなくて聞き返してしまう。
「私にですか……?」
「あなたが連絡先の裏を取ったって聞いたんで」
「それなら、実際に尋問したのは私の同僚なので……」
なんとなく居た堪れず、同僚を探そうとするとやんわり引き留められる。
「あなたから聞きたいんです。何か飲みながらでもどうですか?」
ホークスは休憩スペースを指差して、にこやかに提案する。
途端に罪悪感に似た後ろめたさが湧き上がってきた。
やめてください。
私はあなたに笑いかけてもらえるような人間ではないんです。