• テキストサイズ

それは瞬く星のように【ヒロアカ】

第1章 光を厭い 光に憧る




その女性はホークスの目を引いた。

笑顔を浮かべ、歓迎する様子を見せる職員達の中で唯一何かに絶望したような表情をしていたから。


何故そんな顔をするのか気になった。

気になったからには調べずにはいられない。

ひと通り紹介された氏名を覚え、手のつけられる範囲で彼女の個性、家族構成と経歴、公安に入った経緯、職務内容諸々……


ホークスのように特殊な事情はないようで、比較的簡単に情報は取れた。


忘野 白失

個性:メモリクリア
触れた相手の記憶を触れた時間分だけ遡って消す。

両親は窃盗罪で彼女が5歳の時に捕まっており、兄弟姉妹はいない。
逮捕時、両親は錯乱しており、彼女を「自分達の子ではない。そんな子供は知らない」と主張。
その後、2人とも刑期を終えて出所しているが、娘との交流は一切無し。

彼女は両親逮捕後、身寄りがないということで5〜17歳まで児童養護施設で育ったが、親が逮捕された影響か、施設では職員や他の子供達から無視され続けていた模様。

18歳になり、施設を出ると同時にヒーロー公安委員会に入庁。
尋問補佐官として敵の尋問後、尋問そのものの記憶を消す業務や情報分析業務に従事している。


そこまでの記録を読み、ホークスは引っかかりを覚えた。

ヒーロー公安委員会に18歳で入庁……

自分が言えた義理ではないが、これは異例だろう。

公安委員に通例はあまり適用されないかもしれないが、さすがに若すぎる。
公安は彼女が児童養護施設にいた頃、あるいはその前から目を付けていて、施設を出るタイミングで勧誘したとしか思えない。

彼女の触れた相手の記憶を消す個性がそんなに欲しかったのか?

確かに尋問に使える個性ではあるが、欠かせないという程でもないように思える。

あるいは尋問以外の分野で使おうとした?


……いや、何らか公安の思惑があったとしても今は彼女自身のことだ。


タブレットで開いていた資料を閉じる。

調べられるものは調べた。
後は彼女から色々聞いてみるか……



/ 66ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp