第5章 それは瞬く星のように
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病院の正面入り口は封鎖され、外には多くの市民が集まっていた。
なぜここまで甚大な被害が出たのか、死柄木はどこに消えたのかと問う声やヒーローを糾弾するプラカードを持っている者……
不安が破裂寸前まで膨らんでいることを肌で感じる。
いつ、誰が暴徒と化してもおかしくない。
市民をできるだけ刺激しないよう静かに裏の通用口に回り、そこに立つ警官に公安職員の身分証を見せ、中に入れてもらう。
病院内は外の喧騒よりもずっと静かだった。
医師や看護師が忙しく動き回っているが、次々と患者が運び込まれてベッドが足りないといったような状況ではないようだ。
事務員に案内され、ホークスの病室に入る。
入ってすぐ足が止まってしまった。
ベッドに寝ているホークスは全身包帯姿で酸素マスクを付け、点滴の管が何本も繋がっている。
嫌でも大怪我だと分かる状態だった。
白失に気づいたホークスは緩慢な動作でこちらを向き、フッと目を細める。
「ホー、クス……」
白失の声に返答しようとしたのか、ホークスが酸素マスクに触るのを見て慌てて主任から預かってきた端末を渡す。
喉まで火傷している状態では話すことも難しいはず。
「それは音声出力端末です。打った文字を音声に変換します。声を出せない間はそれを使ってください」
それと、と目良からの指令が書かれたメモを渡す。
白失は中身を知らない。
自分の職位で見てはいけないものだと思ったし、何より指令の内容を知ったらまた悪いことをしてしまうかもしれなかったから。