第5章 それは瞬く星のように
「忘野……」
あとは被災者の避難場所の確保、悩ましいのは変身の個性を持つトガの対策だ。
変身して市民に紛れ込まれたら見分ける術がない。
変身の効果が切れるまで隔離できる場所が必要だが、スペースの問題と万が一トガと判明した場合に取り押さえられる人員を避難所毎に配置する問題が……
「おい、忘野」
「は、はい」
「主任が呼んでるぞ……」
疲れ切った同僚の声でパソコンにかじりついていた顔を上げる。
重い足取りで主任のデスクへ向かうと、やや疲れた顔の主任からスマホサイズの端末を渡された。
「目良さんからの指令よ。これからセントラル病院へ行きなさい」
「セントラル病院ですか……?」
「ホークスが目を覚ましたみたいだからこれを届けて。あと現在の公安の状況と目良さんからの指示を伝えるの」
ホークスの容体は昨夜の内に公安に知らされていた。
荼毘との交戦で翼を含めた背中に大火傷を負い、意識不明。
後方待機だったツクヨミが助けに入らなければ殺されていただろうと……
目が覚めて良かったという安堵とまだ起きたばかりなのにもう公安から指令があるのかという落胆。
しかし、とにかく手が足りない現状で断る理由はなく、端末と目良からの指示が書かれた四つ折りのメモを受け取り、白失はセントラル病院へ向かった。