第4章 Emergency
そして荼毘の口から明かされたホークスの本名は“鷹見 啓悟”。
白失は愕然と目を見開いた。
違う。
ホークスの本名は羽飼啓悟のはずだ。
ヒーロー資格登録上は確かにそう記載されていた。
ヒリヒリと焦燥する。
なぜ荼毘はそんなことを言う?
鷹見といえば、過去にエンデヴァーが拘束した連続強盗殺人犯だ。
鷹見に血縁者がいれば公安がマークするはずだが、そんな監視指示はなかった……
「……っ!」
ひとつ引っかかることがあったことを思い出す。
ホークスの経歴……学歴が少し妙だった。
登録時に誤っただけと思っていたけれど、もしあれが学歴を弄った形跡だったとしたら?
素性を書き換えたからあの学歴だったということにならないか?
ホークスは群訝山荘にて戦況に大きく影響を及ぼす分倍河原を押さえる任が与えられていた。
あの動画、切り抜きで入れられた画像が本物だとすると、そうしなければ止められない状況だったということ。
その上、剛翼が全く映っていなかった。
荼毘の「分倍河原を守ろうとした」という言葉が真実なら荼毘とホークスが交戦したのでは?
荼毘の炎はホークスの剛翼を燃やしてしまう。
……ホークスは無事なの?
混沌に突き落とされていく中、焦りだけが募っていくばかりだった。
―了―