第4章 Emergency
当初動かないと目されていたギガントマキアが、目覚めた死柄木の命令によって群訝山荘から蛇腔病院まで約80kmを一直線に走り抜け、阻止しようとしたヒーロー達の努力も虚しく進路上の市街地が壊滅的な被害を受けたのだ。
建物だけならまだしも多くのヒーローがこの作戦に動員されていたために避難誘導する人員が足りず、数多くの市民が巻き込まれた。
被害状況を確認しようにも酷い電波障害で滞る中、超常解放戦線の電波ジャックで全国に放送された衝撃の事実。
『僕の名前は轟 燈矢。No.1ヒーロー エンデヴァーの息子です』
テレビに映し出された荼毘は、DNA鑑定結果と思われる紙を手にして、ホークスや公安が手を尽くしても解明できなかった己の素性を語り始めた。
荼毘の正体は10年前に死亡したと思われていたエンデヴァーの長男であり、父が強さを求め個性婚をした挙句、欲した個性を持たず生まれた失敗作だったため、忘れられた存在だと。
衝撃はまだ続く。
『ホークスは僕らに取り入るためにあろうことかヒーローを殺しています。休養中だったNo.3ベストジーニストを』
『暴力が生活の一部になってしまっているから平然と実行できてしまう。それもそのはず、彼の父親は連続強盗殺人犯、敵だった。彼が経歴も本名も隠していたのはそのためでした』