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それは瞬く星のように【ヒロアカ】

第1章 光を厭い 光に憧る




20分ほど車を走らせて公安委員会本部ビルに到着し、眠っている同僚にひと声かける。

「着きましたよ」

「あー、もうちょっと遠回りしろよなぁ……」

「遠回りする理由がありません」

その後も同僚はぶつくさと文句を垂れていたが、すぐ車を降りた。



「今日の聴取記録、俺に送っておいてくれ」

「聴取が終わった後に送りました」

「……相変わらず仕事早ぇな。じゃ、俺は報告書作るから」

「私は電話番号の調査ですね」

「そういうこと。報告までにこの電話番号が生きているかだけでも分かるとありがたい」

「承知しました」


互いに頷いて自席に戻る。

この電話番号の契約者や変更履歴の調査は自分達の裁量でできるものではないので、上に報告・判断を待ってから動くことになるだろう。

だが、あまり時間はかけられない。
昨夜の林間合宿襲撃で、プロヒーロー1名、生徒1名が敵連合に連れ去られ、今も行方が分かっていないのだ。

だからこそ、報告までにできる限りの情報を集める。


まずは電話会社に問い合わせるのと同時に手元のパソコンを起動した。


敵連合は仲間が逮捕されたことで、この番号が漏れた可能性まで考えているはずなので、ワン切りなどすれば怪しまれる。
間違い電話を装うのも悪手だ。

電話会社への問い合わせで解決するならそれで良し、解決しないのなら……


コール音を聞きながら音声合成ソフトを開き、いくつも保存されている音声からあるカテゴリのものを選び、最善策と同時並行で次善策の準備を進めていく。




幸いなことに電話会社への照会が叶い、得られた情報はすぐに報告書作成にあたっている同僚に渡した。

「生きてますよ、あの番号」

「連中、まだ番号変更には動いてないのか」

「社会の警戒度が上がって向こうも動きにくくなっていますから。電話会社にも注意を促しておきました」

「よし、これで報告上げるぞ」



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