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それは瞬く星のように【ヒロアカ】

第1章 光を厭い 光に憧る



そして深夜―

フロア内には白失以外誰もいなくなった。


集めた情報をまとめ、記事クラブの連絡先を入力する。



これをリークすれば……



自分の処遇がどうなるかを考えなかった訳じゃない。

きっと身体を拘束されて尋問された後に消される。
あるいは重要機密を漏らしたとしてタルタロスに収監され、一生外に出られないかもしれない。

でも、私の命なんてヒーローよりずっと軽いんだから惜しくない。


私は敵になるしかないのだとしても、

赤い大きな翼で空を自在に飛ぶあなたをこちら側に堕とさせたりはしない―……




キーを押そうとした瞬間、何かしなやかな感触に阻まれた。


視線を落とすとキーボードと指のわずかな隙間に赤い羽根が挟まっている。

これはホークスの……


「ねぇ、それ、やめません?」

声の方に目を向けると、ホークスがこちらにゆっくりと歩いてきていた。

私などお構いなしにモニターを覗き込んでくる。

「良かった、まだ送信してませんね。ちなみにこのファイル、中身は何なんですか?」

「……」

「未遂なんですから別にどこにも誰にも言いませんって」

全く圧を感じない声色に私を責める色はない。

それでも私は目を合わせることができず、視界の端に赤い翼の一部だけ映すので精一杯だった。


……なんでよりにもよってあなたなの、
他の人だったら強行してでもリークしたのに……

あなたが来たら、私は何もできない……


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