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それは瞬く星のように【ヒロアカ】

第1章 光を厭い 光に憧る




ヒーロー公安委員会―

ヒーローの免許交付や登録、貢献度の調査・集計、ビルボードチャート発表のほか、警察と協力して敵(ヴィラン)の組織犯罪の取り締まり等を行う公的機関。


そんな表向きの業務とは一線を画す部署が忘野 白失の職場だ。



「ご協力いただき、ありがとうございました」

「どうも、いつもお疲れ様です」

職員に礼を言う同僚に倣って頭を下げ、拘置所を後にする。


この日行っていたのは、つい昨日拘束された敵の尋問だった。

立て続けに起こった国立雄英高等学校の生徒襲撃事件、林間合宿で生徒達を襲撃した敵連合 開闢行動隊の男だ。


どうやって仲間を集めていたのか、

なぜ最少人数にしか知らせていなかった林間合宿の場所と日時を特定できたのか、

逃げた仲間の潜伏場所、個性、他にも仲間がいるのか、

保須やUSJ、林間合宿に出現した脳を剥き出しにした改人・脳無とは何なのか、背後に何体いるのか、何らかの個性で生み出したものなのか、




「……結局、ほとんど収穫はなかったな」



運転席に乗り込み、車を発進させると助手席に座る同僚がそうこぼした。

この男は相手の嘘を封じるという尋問に適した個性を持つ。

その個性をもってしても、今回得られた情報はわずかだった。
何を問いかけても知らぬ存ぜぬ、挙げ句の果てには雄英高校の生徒が林間合宿中だったことすら知らなかったと答える始末。


「唯一有力そうな手がかりは仲間を募る時に使っていた連絡先か」

押収した携帯電話の履歴から拾い上げた番号は敵連合とのやり取りに使っていたと証言は取れた。

だが、同僚は不服そうに眉を顰めている。

「番号がこれ1つとは思えねぇし、そもそも番号変えられてちゃ終わりだ」

「電話会社に番号変更の履歴と契約者情報の開示を求めれば、ある程度追えるのではないですか?」

「今時プライバシーうんぬんで情報開示手続きが超面倒臭いんだよ!ったく、アイツがもっと情報持ってればよかったんだ。なんでこんな面倒事やらなくちゃならねぇんだよ」


隣から舌打ちと共に鋭い視線が白失に向けられる。


そんなこと言われても……

捜査に必要ならいくら面倒でもやるしかないのに。


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