第6章 ・闇魂
今回は前回よりも強い敵を出した為か、ゾロはすぐに満足したので、一回の戦闘にそんなに時間は掛からなかった。
と、言っても、四、五時間はそこにいたのだが。
しかし、その甲斐あって死皇帝に変異する時の負担や周囲に起こる衝撃波は、大幅に軽減されたのである。
またこの訓練の間、ゾロは、刀や魔法だけでなく、斧、槍、斧槍、双刃剣、大剣、フレイル、弓等々、戦闘で使用される様々な武器の使い方を学んで行った。
死皇帝に変異している為か、その飲み込みは非常に速く、オセは予想以上の成果に驚くばかりであった。
デミゴットの姿に戻ったゾロに、オセは言う。
「……やはり、繰り返し変異した事により、ニンゲンの細胞が闇の力に慣れたのだろう。拒否反応は随分と軽くなった様だな」
「まあな、流石に拒否反応はマジで苦しかったからな……でも、数回変異しただけだぜ。慣れる迄、もっと掛かるかと思ってたから、本当に良かったぜ」
嬉しそうに笑うゾロの言葉に、オセはまたしても、少なからず不安を感じた。
短時間の内に数回変異しただけで、拒否反応が軽くなったのは良い事である。
だが、幾ら何でも早過ぎる様な気がして、ならなかった。
(……やはり、もしかしたら……後々、もっと酷い拒否反応や反動が起こるのでは……いや、ゾロは約束したんだ、大丈夫だ……取り敢えず、この件も報告しておくか……)
オセは正直若干の不安を引き摺っていたが、ゾロの言葉を信じ、笑顔で彼を労った。
シンジュク御苑に戻ると、オセは講義修了の証として、古より魔界に伝わる『戦闘戦技大全集』と言う古書を一冊、ゾロに贈った。
それには何千年、いや、何万年前より、異世界に伝わる様々な武器での戦い方や技が記されている書物である。
古書の為、あちこち修復された跡があるのだが、黒革で装丁された表紙がとても美しい一冊であった。
「ここ迄、二日間に渡っておれの講義を真面目に受けてくれた褒美だ……遠慮なく受け取ってくれ」
「オセ、本当にありがとうな……お前の講義は本当に楽しかったぜ。これは、大事に読ませて貰うよ」
ゾロはオセに丁寧に礼を言うと、彼から次の講義について説明を受けた。