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魔王之死刀

第6章 ・闇魂


「勿論、どちらのお方も凄まじい魔力を持っておられる。マーラ様は大変ご立派なお方で、特に色事に関しての攻撃を得意とされておられるのだ。それで、女の幻影等を見せて邪魔をしたのたが、シヴァ殿はその攻撃に全く動じなかったと言う。今度は、お前の精神に直接入って瞑想の邪魔をしてみるから、覚悟しておけよ」

「へえ……精神に直接入れんのかよ……すげえな、そりゃ楽しみだ。だが、悪りいなあ……そんなのは今更って感じだな。色仕掛けは、おれには効かねえって」

「ふふふ……サキュバスの時の様に、簡単に追い返せるかな?では、早速、始めようか」

 オセの言葉にゾロは無言で頷くと、再び瞑想に入って行った。
 ゾロからサキュバスとのやり取りを聞いていたオセであるが、本当の目的は別にあった。
 彼は、ゾロの魂の状態を知りたかったのである。
 数分後、オセは彼の状態を確認すると、そこから少し離れた場所に移動し、一柱の仲魔を呼び寄せた。
 それは『シトリー』と言う名の、七十二柱の一柱であった。
 序列は十二番目、背中にグリフォンの羽を持つ、豹の姿をした魔界の君主を務める魔神である。
 
「シトリーよ。多忙の中、すまんな」

「いやいや、おれは構わんよ。逆に、呼んでくれて光栄だ。さて……あいつが噂の……」

「そうだ。その魂……強い意思、強靭な肉体……本当に凄まじいぞ」

「ほほう、それは楽しみだ。どれ、早速邪魔をしてやろうじゃないか……新しき魔王よ、その忍耐力、精神力、そして集中力……見せて貰うぞ。では、行って来る」

 シトリーはオセにそう言うと、抜き差し足、ゾロのいる場所迄、静かに移動して行った。
 シトリーは彼の近くに行くと、そこに臥せって瞑想に入り、ゾロの精神世界に潜り込んだ。

「ほう、なるほど……流石は闇の魔王だ。真っ暗で何も見えんな。しかし、本体は近くにいる筈……」

 シトリーは独り言を呟きつつ、ゆっくりと羽を羽ばたかせながら進んで行く。
 すると、少し先に、黒紫色のオーラに包まれた黒い人影を見付けた。
 それこそ、ゾロの本体……彼の『魂』であった。
 ゾロの魂は、ルシファーに『死皇帝』と名付けられた真の姿で、そこに鎮座していた。
 彼は右目を開けたまま、真正面を見据えていた。
 胡座を掻いた状態で黙し、動く気配もない。
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