第10章 ・対極
「射撃の練習もするだろうから、予備の弾丸は一箱ずつサービスしとくよ。因みにこの銃弾は特殊でな、人間は元より、四文字の残党に有効だ。魂そのものを消す事は出来ないが、致命傷を取れば奴等の肉体を一時的に消す事は出来る。魔力の温存にも最適の武器だ。わしで良ければ、何時でも力になる……また何時でも来てくれよ」
「オーナー、本当に色々ありがとな。勿論、また来るよ」
ゾロは笑みを浮かべてそう言うと、ロキと共に射撃場を後にした。
外に出た瞬間、火薬の匂いが初夏の微風に溶けて行く。
ゾロは無意識に、オーナーの言葉を繰り返した。
「……魂を消す事は出来ねえ……でも、肉体は一時的に消す事が出来る、か……」
「どうしたBrother、何か気になる事でも?」
「ああ……あいつ等に効果があるって事は、おれ達に取っても、この銃弾はヤベェ……って事だよな」
「その通りだBrother。だが、ニンゲンの大多数はおれ達魔神族の味方だ。奴等の手に渡る事はまずない。おれ達の『知恵』だったニンゲン達が味方になってくれたお陰で、技術もおれ達の方が奴等より遥かに上になった……銃弾にエンチャントも掛けられるしな。だから奴等は尚更、この世界の武器を欲しがっているのさ」
「……なるほどな……」
「だが……この世界は、あのナホビノさんが目を光らせているからな……勿論油断は出来ねえが、この世界の奴等は、そのうち消滅するだけの運命だ」
「……そうか……」
ゾロは、ふうっ、と溜息を一つ吐いた。
(奴等の目的は影の星……青い星だ。こっちの世界は後回しにしているみてえだ……やっぱり、青い星で、決着を付ける事になりそうだな……)
レザーバッグを握る手に力が入る。
ゾロは決意を新たに、ロキと並んで歩き出した。
射撃場を出た彼等は、そのまま予約していたホテルへ向かう。
チェックインを済ませフロントに荷物を預けると、ロキが軽く肩を叩いた。
「腹、減ったろBrother。こう言う時はジャンクだ」
近くのファストフード店に入り、手早く昼食を済ませる。
外に出ると、ロキがニヤリと笑って言った。
「さて、腹も満たされた事だし……遊びに行くぞ」
「……遊び?」
「おうよ、アミューズメントセンターって奴さ」
ゾロはきょとんとした顔をしながら、ロキの後を追った。