第6章 ・闇魂
修業の地に戻ったゾロとオセは、砂地に腰を下ろすと、ルシファーから労いとして贈られた酒を酌み交わし始めた。
地球や魔界で作られている清酒を始め、ワインやウイスキー等の様々な酒が数本、砂地に置かれている。
酒の肴は、酒と一緒に贈られた魚介類や肉の燻製等。
訓練で疲れた体を酒で癒やす様に、ゾロはゆっくりと、ぐい呑みを口元に運んで行く。
「しっかし……あのバーチャルルームのロボットよお……大した強くねえな。わざと弱くしてあんのか?」
「……バーチャルルームのAIロボは、戦闘初心者から中級者向けに作られているからな……余り強くないのは確かだ。とは言え、稼働してあるものを殆ど破壊してしまうとは、思ってもいなかったぞ」
「あ……?おれ……あそこのロボット、殆ど壊しちまったのか?」
「そうだ……我が軍に取っては、なかなかに大きな損失ではあるが……まだ予備があるからな。しかしそれ以上に、お前と言う非常に大きな戦力が加わったんだ。喜ぶべき損失、と言う事だな」
死皇帝となったゾロの実力に、恐怖さえ覚えたオセであるが、その表情は実に明るいものであった。
さて、大魔王からその後の指導方針を受けたオセは、ゾロにその内容を伝えた。
「ここからは、お前の魔力、そして精神力をより強力なものにする為の訓練、覇王色の覇気と魔力の鍛錬方法、実戦時の魔力の有効な使い方を学んで貰う。それから、変異したお前のデータは全て解析させて貰う事にした……悪く思うな、閣下のご指示だ」
「いいや、別に悪い気はしてねえから気にすんな。珍しいんだろ……おれみたいなデミゴットは、他にいねえって言ってたしな」
「……そうだな。お前が何事もなく、ここ迄無事に生きていてくれて……閣下も……大変お喜びに……」
オセはそこ迄言うと、右手で顔を覆い肩を震わせ泣き始めてしまった。
ゾロは、その眉間に皺を寄せる。
「おいおい、お前は泣き上戸かよ……せっかくの酒が台無しになっちまうじゃねえか」
そう言いつつ、ゾロはオセが余りに大袈裟に泣いているので、何だか可笑しくなって、思わず噴き出し笑い始めてしまった。
オセは涙を拭いつつ、笑い続ける彼に文句を言う。
「わ、笑う事なかろうっ……!!」