第5章 ・魔王顕現
「おれも良く判んねえんだが……多分、自然と、だ。弱い敵ばっかりで飽きて来て、それでお前等に『こっから出る』って言って……今、元に戻ったみてえだな」
興味深く話を聞いていた大魔王は、彼に言う。
「なるほど、戦いに飽きて変異が解けたのか。何にせよ、ゾロ、お疲れ様だったね。暫くゆっくり休むといいよ」
「その前によ、おれはどんな姿に変わったんだ?」
「殆ど人間の姿のままだから……まあ、余り変わってないって言えば、変わってないかな?」
ルシファーはそう言いながら、録画していた映像を巻き戻し再生した。
モニターに戦闘前のゾロの姿が映し出される。
ゾロは、画面を食い入る様に見詰めた。
自身の体に漂う黒紫色のオーラと上半身の変異に、彼は注目する。
「……武装色の覇気を使った時みてえだが……いやでも、ちょっと違うな」
「左腕は手から肘迄、右手から右目の周り、首筋、胸、背中に掛けて、それは完全に結晶化している様だ。実は血の色も変わって……赤ではなく、黒にね。それから、瞳孔が開きっ放しになっている」
「……あー、本当だ。目が完全にイッちまってるじゃねえか」
「お前、そんな呑気な事を……」
他人事の様に笑うゾロに、オセは呆れて苦笑する他なかった。
レギオンから受けた傷は元の姿に戻ると自然と治癒していたので、オセはこの事もデータとして解析班に送信した。
その後ゾロは、オセと共にシンジュク御苑に戻り、ルシファーはまた、散歩へと出掛けて行った。