第5章 ・魔王顕現
ロロノア・ゾロの本性を目の当たりにしたオセは、目を白黒させるばかりであった。
「やはり、閣下の指示には従う様ですな……これは……奴の魂は……過去の事を、覚えている……のですか?」
「……いいや、覚えてはいないさ……彼は、あくまでも『ロロノア・ゾロ』だからね。彼自身が、僕の事を認めてくれている、と言う事さ」
ルシファーは、オセにそう答えて微笑むと、パソコンのキーを一つ打ち、モニターに映るゾロに声を掛ける。
「ゾロ、お待たせしたね……新しい敵が出て来るよ。思いっ切り暴れてくれ」
大魔王の言葉に、ゾロはニヤリと笑って、頷いた。
だが、出て来た敵はレギオンの他、スライムやエンジェル、精霊等、やはり下位に位置する悪魔ばかりであったので、死皇帝ゾロには、少々物足りなかったのかも知れない。
結局ゾロは、AIロボの敵を相手に三時間以上暴れ続ける事になったのだ。
流石のルシファーも、三時間もここに籠る事になるとは思わず、苦笑しながらモニターを見続けていた。
しかし、彼もゾロの力に満足したのだろう。
ゾロがバーチャルルームから出て来た時には、大魔王の表情は、満面の笑みに変わっていた。
戦い終えたゾロを、大魔王は喜んで出迎える。
オセが汗だくのゾロにタオルを手渡すと、彼は無言で頷き、それを受け取った。
大魔王は、変わらず満面の笑みを見せている。
「ゾロ、お疲れ様。やはり君は素晴らしい……!!僕もビックリだよ!!君は本当に素晴らしい友だ……!!!」
「……そう言ってくれるのはありがてえな……お前も満足してくれた様で、何よりだ……」
ゾロがそう言うや否や、その体に現れていた変異がすうっと消え、元の姿に戻って行った。
「どうだい、今の気分は?」
「……最高だ、凄っげえスッキリして、ムチャクチャいい気分だぜ」
タオルで体を拭きつつ、ゾロはそう言って満面の笑みを見せる。
「そりゃ、あれだけ暴れ回れば……スッキリしない訳がない」
オセは呆れて思わず、そう呟いた。
しかしゾロはその言葉を聞いても怒りもせず、笑顔を見せたままである。
そんな彼を見て安心したのか、オセはふと、湧き上がった疑問を口にした。
「しかし、この変異の解除は、お前の意思でやったのか?それとも、自然と……?」