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魔王之死刀

第5章 ・魔王顕現


 ゾロは閻魔と三代鬼徹の二振りを器用に右手だけで持つと、左手で和道一文字を素早く抜き、その柄を口に加えた。
 そして再び閻魔を右手に、三代鬼徹を左手に持ち構える。
 彼は銀色に輝く右目で、敵を睨み付けた。
 それでもレギオンの群れは、再び次々に彼に突撃して行く。
 対するゾロも怯む事なく、タイミングを見計らって真上にジャンプすると、体を捻りつつ技を繰り出した。

「千八十煩悩鳳!!!」

 それは、ゾロが考案した『飛ぶ斬撃』であった。
 彼が両腕を勢い良く振り抜くと、三振りの刀から衝撃波に似た強烈な斬撃が、レギオン目掛けて飛んで行く。
 先頭から三体目迄のレギオンが、勢い良く吹っ飛んだ。
 それは一瞬の出来事だった。
 その後ろを走る二体のレギオンは、先を行くレギオン達が突然いなくなったのでパニックを起こし、右往左往している。
 それを見たゾロは着地する直前、敵に向かって呪文を唱えた。

「……マハジオンガ!!!」

 それは、以前のレギオン戦で使用した電撃魔法であった。
 ジオより一段階上の魔法で射程範囲が広く、複数の敵に攻撃出来る電撃属性魔法である。
 電撃が二体のレギオンに命中すると、感電してそのまま動かなくなった。
 彼は、レギオンの弱点が電撃だと言う事を、しっかり覚えていたのである。
 オセは思わず、目を丸くする。

「ま……マハジオンガだと!!?あ、あいつ……何時覚えたんだ……!!おれ達は、初期魔法しか教えていないのに……」

「誰にも教わってなんかいないよ。ゾロの中に眠っていた魔神……魔王としての本能が目覚めただけさ。時間が経てば、そのうち自然と違う魔法も使える様になるよ」

「……これも……我々魔神と、ニンゲンとのハイブリッドの力……」

「その通り。デメリットも大きいが、それを凌ぐ力を持っているのが、彼……ロロノア・ゾロだ」

「……デメリットは……やはり、理性の欠落……ですか?」

「完全には、理性は失っていない様だけど……欠点は、この状態になると、ゾロの中にある残虐性が増すって事だよ……つまり……」

 ゾロは、感電しているレギオン二体を、容赦なく斬り刻んだ。
 ロボットとは言えこのレギオンは、以前戦った個体よりも明らかに強度が増している。
 弱点を突かれ弱体化したとしても、簡単に切り刻める相手ではない。
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