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魔王之死刀

第5章 ・魔王顕現


「……死にてェ奴は、おれの前に出て来い……ぶった斬ってバラバラにして、血の雨を降らせてやる……」

 眼前の敵、それを抹殺する。
 相手が現実の命か、作り物のロボットなのか等、彼に取って、そんな事は全く関係ない。
 死と闇を支配する魔王の心にあるもの。
 それは、ただ『敵を抹殺し血を流す事』のみである。
 レギオンの姿が、彼の瞳に映る。
 その五体のレギオンは怯む事なく、ゾロに向かって突っ込んで行った。

「……出て来やがったな……!!!」
 
 ゾロの目が鋭さを増し、瞳から殺意と狂気に満ちた光が放たれる。
 だが、レギオンも負けてはいない。
 ある者はアギを唱え、ある者は触手を伸ばし、ある者は突進し、次々とゾロに襲い掛かって行く。
 作り物の下級悪魔レギオンとは思えない程の連携を見せ、波状攻撃を仕掛けて行った。
 相手の出方を伺いつつ攻撃をかわしていたゾロだったが、一体のレギオンの強烈な触手攻撃が、彼の右胸を深く貫いた。

「ちっ……!!」

 深い傷口からドス黒い体液が勢い良く噴き出て、流れて行く。
 それは、ゾロの血であった。
 あの溶岩の様に真っ赤だった血が、タールの様なドス黒い血に変化していたのだ。
 傷口から流れ出るその黒い血は、得体の知れない不気味な生き物が、ゆっくりとゾロの右胸を這って行く様にも見える。
 この変化には、流石のルシファーも驚きを隠せなかった。

「おお……これは……」

 モニター越しに彼の様子を見ていた彼の口から、思わず声が漏れる。
 オセも驚き、目を見張り、固唾を飲んだ。

「外見だけかと思っていたが……まさか、血液の色も変化したのか……オセよ」

 大魔王の言葉に、オセは慌てて返答する。
 
「……は、ははっ、映像も戦闘データもしっかり記録されておりますので、戦闘終了後に分析班に送ります。血液も床に飛び散っておりますので、後程回収、解析を……」
 
「うん、頼んだよ。しかしこれは、本当に想像以上の変異だ……」

 ルシファーは微笑みつつ、引き続きモニターに映るゾロに視線を落とす。
 攻撃を受けたゾロであるが、苦痛に歪む表情等一切見せず、それどころか、薄ら笑いを浮かべている。

「……おう、お前等……手ェ抜いて悪かったな。こっから本気で殺らせて貰うぜ……覚悟しとけよ……!!」
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