第4章 ・対峙
女は頭の中で卑猥な妄想を始めてしまい、その場から動く事が出来なくなってしまった。
一方ゾロは、そんな事等知る由もなく、眉間に皺を寄せて少し強い口調で訊ねる。
「あ?お前等と遊ぶ?……なんでおれが、お前等と遊ばなきゃならねえんだよ……」
「そんな怖い顔しないで……とってもイイ事よ……貴方、凄く逞しいカラダしてるのね……」
片方の女が、甘ったるい声でそう言いつつ、ゾロに近付いた。
彼女が右手で彼の左胸を触ったその時。
「……おい、てめえ……おれに勝手に触ってんじゃねえよ!!!」
ゾロの目が一瞬金色に輝いたかと思うと、衝撃波であっと言う間にその女を吹っ飛ばしてしまった。
数十メートルは飛んで行っただろうか。
ゾロの体に触れた女は、水面に直撃すると、大きな水飛沫を上げて湖の底に沈んで行った。
妄想に耽っていたもう片方の女が、その大きな水音に驚き我に返る。
彼女は、仲魔をふっ飛ばされた事に気付き、ゾロをもの凄い形相で睨み付けると、彼に近付きつつ、もの凄い剣幕で怒鳴り始めた。
「あんた……何すんのよ!!!女を吹っ飛ばして……最低な男ね!!!」
「うるせえ!!!お前等の方こそ、おれに気安く触るんじゃねえ!!!」
彼は、怒りに任せて魔力と一緒に覇王色の覇気を放つ。
ゾロに一喝された女は、その気迫に圧倒され、それ以上歩を進める事が出来なくなってしまった。
今度はゾロが女に近付いて行く。
彼が歩く度に、水面に波が現れる。
ゾロは、彼女の目の前に立ち塞がった。
彼も彼女も全裸である。
彼女をじっと見詰める男の目は、明らかに殺気立っている。
何かされるとでも思ったのだろうか。
本来なら、男に抱かれる事を悦びとしているであろうその女は、慌てて自分の胸を両腕で組み隠した。
そんな彼女を目の前にしたゾロは、今度はドスの効いた低い声で、呟く様に言った。
「……お前等『サキュバス』だろ……知ってるよ……おれとヤッて、おれの精力奪おうって思ってたんだろ……違うか?」
耳元で囁く様なその声に、彼女は思わず身悶えした。
その太く低い声色だけで、体中に甘い電流が走る。
彼に抱かれたいと言う、彼女の強い欲求が否応なしにゾロに伝わって行く。
サキュバスの溜息が甘い吐息となり、男の逞しい胸筋に纏わり付き、六つに割れた見事な腹筋に流れ落ちる。