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魔王之死刀

第4章 ・対峙


「そうか……判った、いい機会だ。ちょっと話してみるよ」

 オセの言葉に、ゾロは笑みを浮かべて、そう答えた。
 さて、オセは次に『魔王の心得』を教授した。
 オセ曰く。

「統治能力、民や部下に対する慈愛、確固たる信念……これ等は全て『王』に必要な事だ。豊富な知識と冷静さ、かつ的確な判断が備わる事で、初めて『王に相応しい者』と言えるのだ。お前にどんな職務が与えられるのかは判らんが、何時か国を任された時の為にも、しっかり学んでくれ」

 オセは、ゾロが魔界に来て以来、彼が『王の器』に相応しい者であるかどうかを密かに見定めていた。
 冷静さ、豪胆さ、勇敢さ、強さ、そして度量の広さ……彼は、それらを既に持ち合わせていた。
 加えてゾロは『麦わらの一味』と言う組織を崩壊から守る為、船長であるルフィや仲間に対して、時に厳しく戒める事も多々あった。
 例えそれが原因で嫌われ者になっても、である。
 彼は海に出た時から、海賊を始め、数多くの組織が甘さや馴れ合いが原因で崩壊して行く様を、その目で幾度となく見て来た。
 彼は『組織』とは何かを、十八、十九の時から既に、しっかりと身に着けていたのだ。

 『船長が威厳をなくした組織は、必ず崩壊する』

 これは嘗て、ゾロがルフィを始め麦わらの一味の甘さに喝を入れる為に、放った一言である。
 厳し過ぎるのも良くはないが、ゾロは適度に緩いところもある。
 そして、締めるところは締める。
 それがゾロの良きところの一つであり、王としても、大切な心構えであった。
 そんな彼であるが、懸念すべき点も勿論持ち合わせていた。
 ゾロは敵に挑発されても滅多にそれに乗らず、冷静に戦況を見極める事が出来る男なのであるが、特定の人物の挑発や言動にだけは、どうしても乗ってしまうところがあった。
 そんな彼と何時も啀み合っている男が、麦わらの一味に存在するのである。
 オセは、彼に静かな口調で訊いた。

「……お前は特に……あのサンジと言う男の煽りや挑発には、何故か乗ってしまう様だが……」

「ああ?何だよ、あいつの事かよ……あいつは要らねえ一言が多過ぎんだよ。おれをばかにした様な事ばっかり言いやがって……本当、ぶった斬ってやりてえ位だ」

 そうきっぱりと言い放つゾロであるが、サンジは船長であるルフィが、一味のコックとして仲間に選んだ男である。
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