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魔王之死刀

第4章 ・対峙


 言い終えたオセは、心做しか得意気に腕組みをしつつ、ゾロの顔を見る。
 そのゾロは、腕組みをして独り考えていた。

(地球の奴等は、切り札に核兵器を使わなかったのか……それにしては……)

 ゾロは、人間だから魔の者だから、男だから女だから、等と言う理由で強弱を決め付ける事を嫌っていた。
 しかし、やはり魔神は魔神である。
 核兵器を使用しなかったとは言え、ゾロは、人間と高次の世界に生きる者の違いを、改めて感じずにはいられなかった。
 彼は気を取り直し、オセに訊ねる。

「……それで勝ち目のなくなった地球の奴等は、魔神側に和平の話を持ち掛けた……って訳か。フォルネウスの話じゃ、その世界の王になった『ナホビノ』のお陰で、人間と魔神の戦いは終わったらしいが」

「その通りだ。お前も知っていると思うが、ナホビノは『人造魔人スサノオ』と、その『知恵』であるニンゲンが一つになった『合一神』だ……神とは言え、半身は地球に住んでいたニンゲン。ニンゲンの感情があるナホビノは、閣下とニンゲンとの直接の話し合いの場を持ち掛け、和平条約を結ぶに至ったのだ」

「……しかし、ルシファーの奴は、良くそのナホビノの存在を許したな。奴は神なんだろ?よっぽど気に入ったんだな……」

「神は神でも、我々を貶めた神と名乗った奴…四文字の神とは、また違う存在だからな。ナホビノの存在を認めなかったのは、その偽神と、それに仕えていた連中だ。ナホビノもまた奴等に貶められた神……それ故に閣下は、ナホビノに世界を託し、今では地球の王として閣下のお力になっている一柱なのだ」

 地球と言う星の世界の王になったナホビノ。
 ルシファーが認めたナホビノと言う者は、一体どれ程の強さなのか。
 ゾロの右目が、一瞬、不気味に輝く。
 オセは、その輝きを見逃さなかった。
  
「ふむ……やはり、ナホビノに興味がある様だな……そうだ、今度の魔王族の会議にはナホビノも出席するから、話掛けてみるといい。まあ話をしなくても、奴がどんな者か……お前なら一目で判るだろう」

「……おれも、話せるのか?そのナホビノって奴と」

「勿論だ。お前は、閣下自らが認められた魔王族、我々の仲魔であり同志だ。例えそれがニンゲンであっても、ニンゲンと魔神の混血種であっても、閣下に認められれば皆、仲魔だ。そしてお前は魔王になる者……何も問題はない」
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