第4章 ・対峙
それから間もなくして、オセの講義が始まった。
実戦前に、ゾロはまず地球に存在する武器の種類等を詳しく教わった。
これ等は、後々魔王として軍を率いる事になる彼に取って、念頭に入れて置くべき重要事項である。
常に自軍の戦力や武力を把握しておく事の重要性……流石は日々戦いに身を置いているゾロである。
そこは彼も重々承知していた。
地球には、ゾロの住む世界に現存する武器や似た武器もある中、そうでないものも多数存在する。
彼が驚いたのは、それ等の性能や威力であった。
爆弾を積んだ空飛ぶ鉄の塊、空飛ぶ鉄の塊を乗せる空母艦、そして化学兵器や核爆弾等の大量破壊兵器等々。
ゾロが住む世界のものとは比べものにならない程の、最新技術が搭載されているのだ。
彼の世界にも、人知れず『古代兵器』と呼ばれるものは存在するが、使用目的や威力等も謎に包まれたままだ。
しかし、地球の兵器……特に核兵器の破壊力は、爆発によって発生する熱線や爆風を始め、放射能汚染によって地球環境が破壊、下手をすれば地球自体が死の星になる可能性がある程である。
(……星が死ぬ……人間だけでなく、下手すりゃ星そのものを殺せる威力、か……核兵器……地球の奴等は、凄えの作りやがったな……)
ゾロはその脅威に驚きながらも、地球の兵器や武器に、興味を持つ様になっていた。
好戦的な彼らしいと言えば、そうであろう。
(何時か地球に行って、色んな武器を実際に使ってみてえな……試し撃ちとか出来んのかな……)
好戦的な彼の血が、静かに騒ぎ始める。
彼はその気持ちを抑えつつ、オセの話に耳を傾け続けた。
「……とにかく、地球のニンゲンはニンゲンを殺す為に、殺傷力の強い武器や兵器を開発し続けたのだ。我々と戦った時も、奴等はそれらを駆使して立ち向かって来た。まあ、我々は永遠に生きる存在……我々の生命力と力には、到底及ばなかったのであるがな」
「その戦いで、地球の奴等は使ったのか?その、核兵器って奴を」
「いいや、流石にそれは使用しなかった……先程も説明したが、それを大量に使えば、ニンゲンはおろか、地球自体が死ぬ事になる。その上、核は我々魔神には効かないシロモノ。その事もあって、ニンゲンは使用を断念したのだ……核兵器はそれ程迄に脅威的で危険なシロモノなのだ……良く覚えておくがいい」