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魔王之死刀

第3章 ・予兆


 最後に、頭に王冠を戴き、ハート型のサングラスを頭に掛けた、アフロヘアの骸骨が口を開いた。

「ジンベエさんの言う通りです……皆さん、希望を持って。とにかく頑張って捜しましょう」

 そんな皆の様子を見つつ、先程、一番最初に口を開いた男……サンジが、静かに煙草に火を点けそれを吸い込むと、肺からゆっくりと煙を吐き出して行った。
 彼は『黒足のサンジ』と言う異名を持つ蹴りの達人で、麦わらの一味のコックである。
 ゾロと同じくルフィの片翼に位置し、この度の戦いでは、カイドウ配下であるもう一人の大看板・クイーンと対峙、激闘の末に勝利したのである。
 彼も大怪我を負いながら、仲間であるゾロの捜索に加わっていた。
 仲間達の気持ちを察した彼は、少し明るい口調で皆に言う。
 
「……マリモの奴、もしかしたらどっかに埋まってるって可能性もある……おれはもう一回、あっちを探してみる。なあに、あのクソマリモの事だ、大丈夫……そう簡単に死にはしねえよ」

 サンジの言葉に、一味の航海士であるナミが頷く。
 
「……そうね……判ったわ、じゃあ十九時にまたここで落ち合いましょう。ゾロが見付かったら、速やかに電伝虫で連絡する事。みんな、いいわね」

「ようし、じゃあ、おれはあっちを捜して来る。みんな、また後でな!!」

 サンジとナミの言葉に、ウソップは力強く返事をすると、捜索を開始する為にその場を離れて行った。
 こうして一味は、ゾロの捜索を再開したのである。
 サンジは一人、目的の場所まで歩きながら、ゾロを大声で呼び続けた。

「おーい、クソマリモ君ー!!早く出て来やがれえ!!」
 
 サンジは叫び終えた後、乱れた金色の髪を軽く右手で整えた。
 彼の右目は長めの前髪で隠れており、その顎には綺麗に整えられた短い髭が生えている。
 一味のコックと言う立場上、彼は常に身嗜みに気を使う男なのであるが、しかし、ワインレッド色の洒落たスーツは、先の戦いとゾロの捜索ですっかり汚れてしまっていた。
 そんなサンジは、ゾロよりも少し後に一味に加入したメンバーである。
 ゾロとサンジの性格は全くの正反対で、船の中でも顔を合わせる度に喧嘩になると言う、所謂犬猿の仲なのであった。
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