第2章 ・血脈
「……ふむ、やはり……ゾロよ。この刀には君の覇気よりも、別のニンゲンの覇気が強く残っている様だ」
「あ……」
ゾロがカイドウとビッグ・マムと対峙した時の事。
ゾロがこの閻魔でカイドウを斬り付けた時、カイドウもビッグ・マムも只の刀ではないと勘付き、焦ったのだ。
閻魔は元々光月おでんと言う、かつてワノ国に存在した大名の愛刀で、閻魔は彼にしか使いこなせない刀だった。
そのおでんは、強力な覇王色の覇気の持ち主でもあった。
彼は覇王色の覇気を纏うと、閻魔でカイドウに斬り掛かり、その体に深い傷跡を残したのである。
その強力な覇気は、二十年経った今でも、閻魔に残っているのだった。
「まあ……このままでも問題ないんだけど……この閻魔を完全に君のものにする方法があるんだ……どうする?やってみるかい?」
ルシファーは、ゾロにそう提案を持ち掛ける。
「そ、そんな方法あんのか……」
「勿論あるさ。それには、君の血を多少使う事になるけどね」
ルシファーの言葉に、ゾロの左の瞳が、一瞬不気味に輝く。
(どんな手を使ってでも、おれはルフィの為に……最強の大剣豪……そして、最強の魔王になってやる……)
ゾロの心は、既に決まっていた。
彼はルシファーに、閻魔を託す事を決めた。
「よし、やってくれ。せっかくだ、完全におれのものにしてえ」
「じゃあ、決まりだね。他の二振りの刀はどうしようか?」
「おう、こいつ等も一緒にやってくれ。で、おれの血はどんだけあればいいんだ?」
ゾロは目を輝かせ、他の二振りの刀をルシファーに手渡しながら訊ねた。
彼の心中は、その辺をはしゃぎ回る子供の様な状態である。
大魔王はそんな彼を落ち着かせるかの様に、静かな口調で言う。
「血の量は刀鍛治のプロを後で呼ぶから、その者に訊いてみてくれ。それから、その服もかなりボロボロだから……新しく作り直そう」
「服も作ってくれんのか!!」
「僕の部下には優秀な衣装係もいるんだ。君にピッタリの服を何着か拵えて貰う様にするよ。ゾロ……僕を超える位の力を身に付けて貰う為にも、これから一週間、頑張って貰うよ」
「ああ、本当にありがとうな!とにかくやってやるさ。宜しくな、お前等」
ゾロはその心中に大きな希望を抱えつつ、異界で出会った新たな仲魔達に、笑顔でそう言った。