第17章 …不惜身命
ルフィは、二度、三度瞬きしてから、じっ、とゾロを見詰め……ニッ、と満面の笑みを浮かべ答える。
「おう、いいぞ!」
「……お前、理由聞かねえのかよ」
拍子抜けしたゾロに、ルフィは何時もと変わらず、あっけらかんとした調子で答える。
「いやあ、ゾロがそう言うなら、いい奴なんだろ? お前が頼み事なんて、すっげえ珍しいしな!」
ルフィの屈託のない言葉に、ゾロは思わず、ふっ、と笑った。
「……ありがとう船長。恩に着る」
「しししっ! 気にすんな!!今日は夕方から、ワノ国上げての宴をやる事になってるしな!! 祭りもやるんだってよ!!ジンベエの歓迎会もやってねえし、みんな纏めて、宴だあ!!!」
ルフィは両腕を高々と上げて、満面の笑みを浮かべてそう叫んだ。
ウソップも一緒になって喜び、両腕を上げている。
その様子を少し離れた場所から見ていたナミとロビンが、お互いに顔を見合わせて、楽し気に笑った。
ルフィと話を終えたゾロが、部屋に戻る為に彼女達の方へ歩いて行く。
二人の姿を目にしたゾロだったが、無言でその前を通り過ぎる。
と、ナミが彼に声を掛けた。
「あんた、あの子の手紙、読んであげたの?」
「……読んだが……それがどうした?」
相変わらずぶっきらぼうに答える彼とは対照的に、ナミとロビンは明るい笑みを浮かべている。
「へえー、そうなんだ……あんたも意外に優しいとこあるじゃない。手紙読んであげて船に乗せる、なんてさ」
「……うふふ……知り合いは知り合いでも……何だか『深い』知り合いの様に見えるわよ」
ナミとロビンの何か言いた気な物言いに、ゾロは顔を顰めつつ言葉を返す。
「……余計な詮索すんじゃねえ。只の顔見知りだ」
そう吐き捨てて、またスタスタと部屋に向かって歩いて行った。
「全く、本当に無愛想なんだから……」
「でも、ゾロは満更でもなさそう。そうでなかったら、船には乗せない……でしょ?」
「……まあ、そうなんだけど。でも、あの子、本当にゾロのファンなのね……それが信じられないわ……」
三刀流の剣豪の後ろ姿に視線を遣りつつ、ナミとロビンは声を顰め、笑みを浮かべてそう話すのだった。
さて、ゾロがハーデスの眠る部屋の襖に手を掛けた、その時。
部屋の中から、聞き慣れた女性の艶やかな声が漏れて来た。