第17章 …不惜身命
「はい……実はワノ国に入国する少し前に、こちらに向かって何かが飛んで来るのを見たのです。『異様な気配』を感じたので使い魔を放ったところ、その正体は海軍……ニンゲンでした」
彼女の言葉に、ゾロは思わず眉を顰めた。
「海軍がワノ国に?……人間が空飛んでたって……そりゃ本当か?」
「はい、間違いなく悪魔の実の能力者……その能力で空を飛んでいた様です。引き続き使い魔が尾行を継続、上陸前に一報が入る手筈になっております……」
彼女の思念が闇に乗り、魔王に届く。
やはり、その言葉に嘘偽りはない。
しかも、悪魔の実の能力者から放たれる、人間には判らない『気配』もしっかり捉えている。
その上、使い魔を尾行させていると言うのだ。
彼女の優秀な能力に関心しつつ、ゾロは思わずニヤリと笑った。
「お前がこの国に来た……って事は、海軍もそろそろ上陸する頃だな。まあいい、来たら来たで、このおれが返り討ちにしてやる」
「……では、その時は私もご一緒に……」
「お前はまだ体力が戻ってねえんだ。黙って休んでろ……それより、宴が始まったらジンベエって奴の話し相手になってやってくれ。あいつも一味に入ったばっかりだ……新入り同士、気が合うだろうからな」
そう言うゾロに、ハーデスは恐縮しつつ声を掛ける。
「あ、あの……」
「どうした?」
「……あの、助けてくれて……側近にしてくれて、本当に、本当にありがとう……」
「……おう」
ゾロはニヤリと笑い一言だけ返すと、立ち上がり刀を背負って、静かに部屋を出て行った。
(ど、ど、どうしよう……まさか死皇帝陛下の……ゾロ様の側近になれるなんて……!!!)
残されたハーデスは、更に顔を真っ赤にしつつ、また布団に潜り込んでしまった。
一方、ゾロは襖を開けて隣の部屋に移動すると、隅に座ってオレンジジュースを飲んでいるチョッパーに、彼女が目覚めた事を告げた。
「そうか、あいつ目覚めたのか!ゾロ、良かったな!!」
「ああ、まあ、な」
「ねえ、ゾロ。あんた、あの子の事、知ってる訳?」
素っ気なく返したゾロを、横目で見ながら訊ねるナミ。
その隣ではロビンが茶を飲みつつ、笑顔を見せていた。
剣豪は眉間に皺を寄せて、面倒そうに答える。